2005 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の筋分化におけるNotchとMAPキナーゼ経路の役割と制御機構の解析
Project/Area Number |
04J01292
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 邦生 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞分化 / 細胞内シグナル伝達 / MAPキナーゼ / クロストーク / Notchシグナル / リン酸化 / 転写 / ERK5 |
Research Abstract |
1.Notchによる筋分化抑制時におけるMAPキナーゼカスケードの制御 NotchがMKP-1を誘導する際の分子メカニズムの詳細な解析を行った。その結果、MKP-1の発現誘導はRBP-J依存的な経路を介して行われること、Notch-RBP-J経路の標的遺伝子の一つであるHes1の過剰発現によってもMKP-1の発現を誘導できることを見出した。このことから、MKP-1の誘導はNotch-RBP-J-Hes1というシグナル伝達経路を介することがわかった。NotchによるMKP-1誘導の生理的意義を明らかにするために、siRNAによってMKP-1の発現を抑制し、Notchの筋分化抑制に対する効果を調べた。その結果、MKP-1 siRNAによってNotchによる筋分化抑制が部分的に解除された。このことより、MKP-1の発現はNotchによる筋分化抑制機構において重要な役割を担っていることを明らかにした。 2.筋分化に関わるMAPキナーゼファミリー分子ERK5の機能 昨年度に見出したERK5のユニークな細胞内局在制御機構のより詳細な解析を行い、過剰発現させたERK5だけでなく内在性のERK5も我々が見出した制御機構を用いていること、細胞依存的にいくつかの制御機構が使い分けられていることを見出した。また、ERK5の独自のC末端領域の機能を明らかにするために、昨年度に同定したERK5 C末端領域の自己リン酸化部位を用いて恒常活性型のC末端領域を作成することに成功した。この恒常活性型C末端領域はキナーゼ活性を持たないが、単独で下流の標的であるAP-1の転写活性を促進したほか、様々な転写因子の転写を促進した。このことより、ERK5のC末端領域は独自の重要な転写促進能を持っていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)