2004 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の筋分化におけるNotchとMAPキナーゼ経路の機能と制御機構の解析
Project/Area Number |
04J01292
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 邦生 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞分化 / 細胞内シグナル伝達 / MAPキナーゼ / クロストーク / Notchシグナル / リン酸化 / 核移行シグナル / 核外移行シグナル |
Research Abstract |
(1)Notchによる筋分化抑制時におけるMAPキナーゼカスケードの制御 NotchがMKP-1を誘導する際の分子メカニズムについて解析を行った。プロモーターを用いたレポーターアッセイにより、転写開始点より1000〜3000塩基上流の領域がMKP-1の誘導に必要なこと、またこの発現の誘導はRBP-J非依存的なNotch経路によって行われていることを明らかにした。また、NotchによるMKP-1の誘導の生理的意義を明らかにするため、siRNAを用いてMKP-1の発現を抑制し筋分化に対する影響を調べた。その結果、MKP-1の発現を抑制すると筋分化が促進され、筋分化に対してMKP-1は抑制的な役割を担っていることが明らかになった。 (2)筋分化に関わるMKPキナーゼファミリー因子ERK5の機能 ERK5の細胞内局在についてさらに解析を進め、ERK5の細胞内局在が核移行シグナル(NLS)と核外移行シグナル(NES)の両方によって能動的に制御されていることを見出した。我々は昨年までにリン酸化によってERK5の立体構造が大きく変化することを見出していたが、この立体構造の変化によつてERK5のNESの不活性化され、その結果ERK5の局在が核へと変化することを見出した。このような構造変化を伴う局在制御機構は非常にユニークなものである。また、ERK5のC末端領域の機能を明らかにするためにC末端領域内の自己リン酸化部位の同定を行い、4箇所のリン酸化部位を同定した。これらのリン酸化部位をアラニンに置換したリン酸化不能変異体ではERK5の下流の転写因子であるAP-1の転写活性が低下したことから、ERK5のC末端領域の機能はリン酸化によって制御されていることが示唆され、C末端領域の機能解析の手がかりを得ることができた。
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