2005 Fiscal Year Annual Research Report
核小体の機能・構造解明:核小体における0bgEホモログの機能的役割
Project/Area Number |
04J01300
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 綾 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Obg / 核小体 / ミトコンドリア / リボソーム / rRNA / 分子進化 |
Research Abstract |
今年度、ヒトObgホモログの機能について以下を明らかにした。 1.GTPase活性の測定 ObgH1,ObgH2のGTPase活性(kcat)は各々0.014±0.005,0.010±0.002 min-1であり、バクテリアで報告されているObgのGTPase活性と類似していた。 2.ヒトObgホモログタンパク質(ObgH1,ObgH2)は大腸菌ObgEタンパク質の機能を補完する。 大腸菌ObgEは、ribosomal proteins及びrRNAと結合し、リボソームの合成を促進する。ObgE欠損株では、リボソーム合成が阻害されるため、細胞成長が阻害される。ヒトObgH1,ObgH2を各々このObgE欠損株において強制発現させると、両者共にこの成長阻害を補完する。1および2の結果は、Obgはバクテリアからヒトに至るまで、高度に保存された機能(リボソーム合成に関する機能であると推測される)を保持していることを示唆している。 3.RNAiによるObgH1,H2欠損株の表現型解析 HeLa細胞においてRNAiによりObgH1をノックダウンすると、ミトコンドリアの異常伸長及び、核の形態異常が引き起こされた。ミトコンドリアの伸長は、私が報告したObgEの機能不全が引き起こす大腸菌の伸長と酷似していた。また、同様のRNAiをObgH2について行うと、核小体のsub compartmentの崩壊が観察されたことから、ObgH2は核小体構造維持に必須であることがわかった。 4.Obgタンパク質の系統樹解析 バクテリアでは、一種類のみのObgが保存されているのに対して、動物や植物では複数のObgホモログが存在する。特に動物のObgは、動物に進化した後に複数に分かれたことが示唆された。上記1〜3により得られた結果及び、Obgタンパク質の配列比較解析から、ObgH2が動物進化後に得たホモログであると考え、現在ObgH2の機能解析を行なっている。
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