2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世東国の神話形成に関する研究-二所三島の縁起と真名本『曽我物語』-
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04J01504
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
阿部 美香 (鴨志田 美香) 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 佛神一躰灌頂鈔 / 箱根権現縁起絵巻 / 高田大明神縁起 / 二所三島参詣 |
Research Abstract |
本年度は、伊豆・箱根・三島の縁起研究のなかで主要なテクストの一つである『佛神一躰灌頂鈔 付二所三島参詣』について考察を行い、伝承文学研究会大会(於学習院女子大学、2005.9)において口頭発表を行った。また、本資料を翻刻し解題を付して紹介も行った。本テクストは、後北條氏の時代における箱根権現を中心とした二所三島の復興のなかで生成されたテクストと考えられ、『箱根権現縁起絵巻』(正覚院本)の成立と軌を一にしていたと考えられる。その資料的価値について述べた論文を、現在投稿中である。 こうした最新の研究成果を広く一般に還元するために、神奈川県立歴史博物館において催された特別展「聖地への憧れ 中世東国の熊野信仰」の県博セミナーにおいて、「箱根・伊豆・三島の三所参詣と熊野信仰」と題して講演を行い、同展覧会図録にもコラムを寄せた。 一方、東国の神話形成の特質を明らかにするために、比較研究の対象とする隠岐島後の『高田大明神縁起』については、現地調査を継続して行い、翻刻紹介の準備を整え、来年度に発表する予定である。 このほか、中世における宗教文芸および唱導の問題を考える手掛かりとして取り組む『醍醐寺閻魔堂絵銘』については、研究の成果を文学研究に止まることなく、広く美術史や一般に提示するために、『仏教美術と歴史文化』に論考を発表した。また、印度美術研究会(於名古屋大学、2006.3.25)において口頭発表を行い、本年度最後の研究発表の場とする。
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Research Products
(3 results)