2004 Fiscal Year Annual Research Report
原始活動銀河核の物理とブラックホールの宇宙論的成長
Project/Area Number |
04J01879
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
川口 俊宏 国立天文台, 光赤外研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 活動銀河核 / ブラックホール / ガス降着 |
Research Abstract |
1、原子活動銀河核における中心ブラックホール質量の成長率の推定を初めて行った。 中心ブラックホール(BH)が比較的軽く、質量降着率の大きい活動銀河核(AGN)である狭輝線1型セイファート銀河(NLS1)は、誕生中のクェーサー、或いは原子AGNとして重要な天体である。大降着率はBH質量の急速な成長を意味するが、定量的にどれだけ成長するかは大降着率が続く期間の仮定次第である為、これまでまったく不明であった。今回、AGNの寿命中の大降着率期間の割合が、1型AGN中のNLS1の相対的な割合に比例していると仮定する事で、BH質量はNLS1期間中に平均的に1桁から3桁増加する事が分かった。一方、クェーサー等のNLS1以外の1型AGNでは、BH質量はせいぜい2倍弱にしかならない。つまりガス降着によるBH成長は、1型AGNの多数派であるクェーサーやセイファート1型銀河では無く、NLS1の間に独占的に行われた事になる。 この結果は、Astronomy & Astrophysics Letters誌2004年6月号に掲載され、またパリ天文台にWebにてプレスリリースを行った。 2、銀河中心へのガス流入量を決める要因解明への足がかりを得た。 活動銀河核のガス降着率を決める物理的要因はいったい何であろうか? ガス流入量は、(i)BH周辺からの輻射圧によって制御されているかもしれない。あるいは逆に、(ii)角運動量抜き取り機構の効率と銀河中心部に存在する星間ガスの量だけで決まるかもしれない。最新の降着円盤モデルを介した降着率の推定を近傍の数百天体について行ったところ、約4桁にわたるBH質量について、最大ガス降着率がほぼ一定(1年に太陽質量の数倍)であった。これは、ガス流入が、(i)内的な要因で決まっているのではなく、むしろ(ii)外的要因でコントロールされている事を意味する。 この結果は、Astronomy & Astrophysics誌2004年11月号に掲載された。
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Research Products
(4 results)