2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦後中国の対日政策-「積み上げ」戦略における「浸透」と「友好」
Project/Area Number |
04J02062
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大澤 武司 中央大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 在華邦人引揚 / 日本人技術者留用 / 戦後日中民間人道外交 / 中国人遺骨送還 / 中共党史 |
Research Abstract |
研究従事者は博士課程在学中であり、本年度の研究活動は学位論文執筆を中心に展開した。 まず史料調査・収集について。計画では中華人民共和国外交部档案館(北京)での戦後日中関係関連史料の獲得を予定していたが、照会の結果、史料整理の遅延が判明したため、これを変更して中華民国国史館(台北)での史料調査・収集を実施した(2004年9月22日〜10月2日)。本調査により第二次大戦終結直後の在華邦人送還に関する国民政府史料、1950年代の国民政府外交部の対日関係史料を獲得し、学位論文第1章関係部分「在華邦人問題の形成過程」を完成させた。同研究では第二次大戦後の米国の東アジア政策と在華邦人引揚、国民政府の日本人技術者留用政策との関連を解明した。また、島根県立大学(2004年12月11日)及び北海道大学(2005年1月30日)において「戦後米国のアジア政策と台湾における日本人技術者留用問題」など、関連する報告を行なった。 つぎに個別の研究成果について。計画では主要研究対象である戦後日中民間人道外交-1950年代の日中民間における「人道問題」解決交渉-以外に、同時期の日中経済外交にも考察対象を広げるとしていた。そのため、同分野を扱った王偉彬『中国と日本の外交政策』(ミネルヴァ書房、2004年)の書評を発表。また、「日中民間人道外交における中国人遺骨送還問題」、「中共党史の展開と胡喬木」〔共著〕を発表した。特に前者は学位論文を構成する論稿であり、外務省外交史料館所蔵史料に依拠し、戦時中の中国人強制連行問題に源流を持つ中国人殉難者遺骨送還問題が戦後日中民間外交の文脈においてどのように扱われ、解決されたのかを明らかにした。
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