2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー捕捉を利用した微小界面におけるトライボロジーの研究
Project/Area Number |
04J02462
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村澤 尚樹 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レーザートラッピング / 液晶液滴 / トライボロジー / 光トルク |
Research Abstract |
微小領域におけるトライボロジーの詳細を明らかにすることは、マイクロ・ナノメートルオーダーの人工的なアクチュエーターの実現や生体内の分子モーターの運動のメカニズムの解明において非常に重要である。本研究はレーザーマニピュレーションを利用し、マイクロ・ナノメートルオーダーの液晶液滴を捕捉、回転させたときの液滴の挙動を解析することで、液晶液滴と周囲の溶媒との液-液界面におけるトライボロジーの詳細を解明することを目的としている。本年度は、捕捉、回転している液滴の回転速度及び液滴を透過したレーザー光の偏光状態を解析することで、微小領域での溶媒の粘度の評価を行った。また界面活性剤を添加することで液晶液滴と溶媒との界面の状態を変化させ、界面の状態が与える粘度の解析データの変化を観測した。 試料となる液晶液滴はネマチック液晶CB5(ALDRICH)を重水中に500:1の体積比で混合し、攪拌することで作製した。捕捉用レーザーとしてCW Nd : YAGレーザーの基本波(1064nm)を用い、液晶液滴を偏光顕微鏡下でレーザートラップした。また、液滴を透過したレーザー光をダイクロイック・ミラーで反射させ、偏光ビームスプリッタを透過させた後にフォトダイオードで測定し、そのデータから液滴の回転周波数及びレーザー光の偏光状態を求めた。 1.5〜4.5μmの粒径を持つ液晶液滴についてそれぞれ測定した結果、粘度の解析値が約1.23mPa・sとなり、これは重水の粘度(1.232mPa・s(25℃))と一致することが明らかとなった。また、非イオン界面活性剤Tween20を添加することで粘度の値が増加する現象が観察された。これは液晶液滴と重水との界面の状態が変化したことにより、微小領域における粘度が増加したためであると考えられる。今後は他種の液晶、界面活性剤についても観測を進める予定である。
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Research Products
(1 results)