2005 Fiscal Year Annual Research Report
接着斑を構成する細胞骨格系タンパク、talinの機能解析
Project/Area Number |
04J02716
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
辻岡 政経 独立行政法人産業技術総合研究所, ジーンファンクション研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | タリン(talin) / 細胞接着 / HeLa細胞 / 細胞性粘菌 / RNAi |
Research Abstract |
talinは細胞と基質の接着点(接着斑)の形成・制御に重要な役割を果たすタンパク質である。近年、ヒト、マウスをはじめ、様々な生物で二つ目のタリンが見つかっている。本研究では二種類タリンの機能の違いを解析している。 二つのタリンの解析が比較的進んでいる細胞性粘菌を用いて、タリン二重破壊株と各一重破壊株の表現型を比較した。二つの一重破壊株の表現型は全く異なるが、それら全ての表現型は二重破壊株でより強くなった。また、タリンA破壊株の全ての欠陥はタリンBの過剰発現によりほぼ回復した。したがって細胞性粘菌において、二つのタリンの機能は部分的に重複しており、補い合っている事が示唆された。 現在、動物細胞の二つのタリン(タリン1、タリン2)においても機能重複の有無を調べている。まず、HeLa細胞を用い、RNAiの手法により各タリンの発現抑制株の作成を試みた。どちらの発現抑制ベクターを導入した細胞も、コントロールベクターを導入した細胞と比べて、3〜4日後に生きている細胞が10%以下になった。生き残っていた細胞とコントロールの細胞からRNAをとり、RT-PCRにより発現レベルを確認したところ、両遺伝子ともそれぞれの発現抑制ベクターにより、転写レベルが20%以下に抑えられていた。発現抑制株を細胞培養用ディッシュに蒔き直して形を観察すると、どちらの発現抑制株も、接着する細胞がコントロールの細胞に比べて10%以下で、接着したものもほとんどが丸い形だった。細胞外マトリックスの成分として知られるコラーゲンやフィブロネクチン上に蒔き直すと、接着する細胞はやはり10%以下だったが僅かに増え、それらのほとんどはコントロールの細胞と同様に基質上で広がっていた。更なる実験が必要であるが、現在のところタリン1、タリン2発現抑制株は、どちらも同様に基質との接着が弱まっていると考えている。
|