2004 Fiscal Year Annual Research Report
HIV/AIDSに関するフレーミングをめぐる社会運動・市民活動の分析
Project/Area Number |
04J02894
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本郷 正武 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | HIV / AIDS / フレーミング / 社会運動論 / アイデンティティ / セルフヘルプ・グループ / NPO |
Research Abstract |
HIV/AIDSの感染不安者・感染者の支援をおこなう市民活動団体の参与観察および聞き取りデータをもとに、各種学会・研究会報告をおこなった。日本保健医療社会学会(5月:東洋大学)と東北社会学会(8月:弘前大学)では、HIV/AIDSを非当事者である「良心的支持者」がどのように理解・受容するかのプロセスについて論考した。国際エイズ会議(7月:バンコク)でのポスター報告では、市民活動団体が援用する「ワークショップ」の機能から、HIV/AIDSへの意味付けの仕方について考察した。日本社会学会(11月:熊本大学)では、スティグマをもった人々が、セルフヘルプ・グループや社会運動に参加・関与する過程でのアイデンティティ形成について理論的考察をおこなった。以上の学会報告とその他研究会報告から、HIV/AIDS特有のイシューの変遷と多義性について考察する上で、当事者でない良心的支持者の役割やはたらきに着目する有効性を提起した。 加えて今年度は、医療人類学や疫学など、他分野でのHIV/AIDS研究に関する研究会を立ち上げた。そこで良心的支持者の位置づけや、患者会といった集合行為に着目する社会運動論的な分析視角の有効性を確認するとともに、社会学分野では皆無に等しいHIV/AIDSの社会科学的な研究について渉猟することができた。 さらに、現在参与観察をおこなっている市民活動団体だけにとどまらず、特に薬害HIVに関する活動をしている団体、患者会、および同種のセルフヘルプ・グループについて予備調査をおこなった。そこでは、これまでの理論的考察をふまえ、患者会やセルフヘルプ・グループでの体験が、良心的支持者との相互作用と相まって、以降のライフコースにさまざまな影響を与えたことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)