2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳関門排出輸送に基づく痙攣誘発性グアニジノ化合物の中枢解毒機構
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04J03305
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
立川 正憲 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グアニジノ化合物 / 中枢解毒機構 / 血液脳関門 / 血液脳脊髄液関門 / 排出輸送 / クレアチニン / クレアチン / クレアチンキナーゼ |
Research Abstract |
腎不全患者に認められる神経異常症状は、脳内及び脳脊髄液内のグアニジノ化合物クレアチニンの蓄積が原因の一つとされている。しかし、クレアチニンの脳内動態を決定付ける分子機構には未だ不明が多く残されている。本年度は、脳内クレアチニン生成の分子細胞機構を明らかにするとともに、申請者の仮説「脳関門は、グアニジノ化合物を脳内から積極的に排出輸送する中枢解毒機構として機能している」ことを実証することを目的とした。クレアチニンは、クレアチン及びクレアチンリン酸から一定速度で非酵素的に変換されるが、申請者はクレアチンを合成する酵素(GAMT)が、オリゴデンドロサイト、嗅神経被覆グリア及びアストロサイトで豊富に発現することを明らかにした。さらにクレアチンリン酸を生成する酵素であるクレアチンキナーゼ(CK)は、ubiquitous mitochondrial CK(uCK-Mi)がニューロン構成要素のミトコンドリアに局在し、CK-Bがアストロサイトと抑制性ニューロンに高発現することを明らかにした。以上の結果から、クレアチニンは脳内ニューロン及びグリア細胞で生成されることが示唆された。脳室内に投与した[^3H]クレアチニンは半減期6.1分で脳脊髄液中から消失し、見かけの消失クリアランスは脳脊髄液のbulk flowを表す[^<14>C]イヌリンと比較して59倍速かった。一方、血液脳関門を介した[^3H]クレアチニンの脳内からの時間依存的な排出は少なくとも90分まで示されなかった。本研究から、グアニジノ化合物クレアチニンは脳内ではニューロン及びグリア細胞で生成され、血液脳脊髄液関門を介して脳内から排出輸送されるという脳関門の生理機能が明らかになった。
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Research Products
(6 results)