2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナのウイルス抵抗性に関与する宿主遺伝子の網羅的解析
Project/Area Number |
04J03315
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石原 岳明 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キュウリモザイクウイルス / シロイヌナズナ / cDNAマクロアレイ / サリチル酸 / DUF179 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのecotype C24はキュウリモザイクウイルス黄斑系統[CMV(Y)]に対して抵抗性を示す。これまでに、抵抗性シグナル伝達系の解明の手がかりを得るために、cDNAマクロアレイを用いて遺伝子発現パターンを経時的かつ網羅的に比較解析した。 本年度はこのデータをもとに、感染初期から抵抗性において特異的に発現量が増加する遺伝子のうち、機能未知遺伝子であるAt3g29240遺伝子についての解析を行った。データベース検索の結果、この遺伝子がコードするタンパク質はDUF179と呼ばれる配列を有していることが明らかになった。この配列は、細菌では多くの種で見られ、植物においてもシロイヌナズナの他、イネからも見つかっているが、糸状菌や動物からは見つかっていない。CMV(Y)接種C24(抵抗性)と、C24に対して罹病性の系統であるCMV(B2)を接種した場合のAt3g29240遺伝子の発現量をノーザンハイブリダイゼーションで比較したところ、CMV(Y)接種C24において特に強く発現していることが示された。また、重要なシグナル伝達物質として知られるサリチル酸(SA)を処理したところ、発現量が大きく増加した。さらに、シグナル伝達系においてSAの関わる経路を阻害する変異遺伝子(eds5,npr1,nahG)と、CMV(Y)に対する抵抗性遺伝子RCY1を共にホモに持つ個体にCMV(Y)を接種したところ、発現量の増加が大幅に抑えられた。このことから、At3g29240遺伝子の発現はSAの関わるシグナル伝達系の制御を受けていると考えられた。現在は、遺伝子産物の細胞内局在の解析と、過剰発現形質転換体の作出などを試みているところである。
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Research Products
(1 results)