2005 Fiscal Year Annual Research Report
キュウリ芽ばえの重力形態形成を制御するオーキシン作用の分子機構
Project/Area Number |
04J03343
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 綿子 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重力 / オーキシン / キュウリ / ペグ / CsARF / CsIAA |
Research Abstract |
植物の重力応答機構を理解するためのモデル実験系として、キュウリの芽ばえの重力形態形成に着目し、研究を行ってきた。キュウリの芽ばえは、根と胚軸の境界領域に突起状の組織、ペグを形成する。ペグの形成面は重力によって制御されており、芽ばえを水平に置いて発芽させると、境界領域の下側面にペグが発達し、上側ではペグ形成が抑制される。これまでの解析より、オーキシンが境界領域の上側で減少する一方で、境界領域下側に蓄積してペグを誘導すると考えられていた。本研究では、オーキシンがペグの形成と抑制を制御する際に重要であると考えられるオーキシンを介した転写制御に焦点をあてた。そこで、オーキシン誘導性遺伝子の転写因子であるCsARF2ならびにCsARF5と、ネガティブレギュレーターであるCsIAA2のタンパク質の蓄積パターンを、昨年度に作成した特異的抗体を用いて解析した。重力に応答した境界領域でペグの発達と抑制がおこるとき、アクチベーターとして機能するCsARF2は恒常的なタンパク質の蓄積パターンを示した。CsARF2の転写活性を抑制することが示唆されていたCsIAA2は、オーキシン処理によってタンパク質の蓄積量が一過的に減少することが明らかになった。重力応答時の境界領域の下側面においては、オーキシンによってCsIAA2のタンパク質の蓄積量が減少することにより、CsARF2による転写が活性化されることが、ペグ形成時のオーキシン誘導性遺伝子のmRNAの増加につながると推測された。 また、リプレッサーであるCsARF5は、オーキシンがペグを発達させる境界領域下側で減少し、上側に蓄積することが明らかになった。CsARF5は境界領域の上側でオーキシン誘導性遺伝子の発現を抑制し、ペグの抑制に貢献するものと推測された。
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Research Products
(1 results)