2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性抗生物質ケダルシジンクロモフォアの全合成と生物活性発現機構の解明
Project/Area Number |
04J03434
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 功 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エンジイン / ケダルシジンクロモフォア / グリコシル化 / 2-デオキシ糖 / アミノ糖 / 固相担持DBU |
Research Abstract |
クロモプロテイン系抗生物質であるケダルシジンは、強力な抗腫瘍性と、特異な活性発現機構から注目を集めている。活性本体のクロモフォアは、9員環エンジイン、アンサマクロライド、2種の2-デオキシ糖など複雑な構造を有する、チャレンジングな全合成標的である。また、その不安定さから、構造活性相関研究のための誘導体化には、化学合成が唯一の手段である。ケダルシジンクロモフォアの全合成に向けて、当研究室は既に、アトロプ異性を制御したマクロライド合成と9員環ジインの構築、L-マイカロースのα選択的グリコシル化を達成している。私は、残る課題である、L-ケダロサミンのα選択的グリコシル化を検討した。 以前、当研究室で、チオ糖やフッ化糖を用いたL-ケダロサミンのグリコシル化が検討されたが、満足のいく結果は得られていなかった。そこで私は、反応性の高いイミデート法を利用した。イミデートは不安定であったが、固相担持のDBUを塩基として用いることによって精製を省略でき、ヘミアセタールから簡便にイミデートを調製する手法を確立した。本法は不安定な糖のイミデート化に有用である。調整したイミデートを用いて、種々のモデル化合物のグリコシル化を検討したところ、温和な条件下、高いα選択性を示した。続いて、マクロライドを有する、多官能基化されたアクセプターのグリコシル化を検討した。低温では反応が進行しなかったが、40℃で、イミデートを25等量、活性化剤としてBF_3・OEt_2を用いると、38%の収率で望みのα-グリコシドを得ることに成功した。 L-ケダロサミンのグリコシル化法を開発したことで、各フラグメントの連結法は全て確立した。現在、全合成に向け、アグリコンの構築を検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Efficient construction of the kedarcidin chromophore ansamacrolide2005
Author(s)
Koyama, Yasuhito, Lear, Martin J., Yoshimura, Fumihiko, Ohashi, Isao, Mashimo, Tomoko, Hirama, Masahiro
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Journal Title
Organic Letters 7・2
Pages: 267-270
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