2004 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ抵抗性におけるモノテルペン生合成の役割に関する研究
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04J03694
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山崎 祐未子 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | モノテルペン / カンキツ / Alternaria alternata / 抗菌活性 / シグナル伝達物質 / 葉緑体 / 揮発性物質 / 緑色蛍光タンパク質(GFP) |
Research Abstract |
ラフレモン葉から放出されるモノテルペンは、量・種類ともに他の植物より多い。これまでに揮発性モノテルペンの幾つかは菌に対する静菌作用を持つことを明らかにしてきた。さらに菌接種によりラフレモン葉でのモノテルペンの放出量に大きな増減は見られないが、モノテルペン生合成経路の酵素遺伝子であるgeranyl diphosphate合成酵素遺伝子、モノテルペン合成酵素遺伝子の発現が誘導されることを示した(特定領域研究若手の会、2004年)。このことから微量のモノテルペンが組織内部で増加している可能性があると考え、本年は低濃度の各種モノテルペンをvapor処理した葉で、これまでにカンキツ抵抗性に関連することを明らかにしてきた酸性キチナーゼ,リポキシゲナーゼ,アレンオキシド合成酵素,カルコン合成酵素,フェニルアラニンアンモニアリアーゼの各遺伝子の発現挙動解析を行い、モノテルペンはこれらの遺伝子発現の制御に関与することを明らかとし、植物内でシグナル因子として働く可能性を示した(全国大会、2004年)。またショウジョウバエを用いてのvapor実験により、モノテルペンの幾つかはショウジョウバエに対して抗虫作用を持つものもあることが示唆された(全国大会、2004年)。この様に多様な役割をもつと考えられるモノテルペンは、植物では非メバロン酸経路から合成されると考えられている。この非メバロン酸経路はpyruvateとglyceraldehydes 3-phosphateを前駆体とし7つの酵素が関与しており、これらの酵素の幾つかは植物細胞では葉緑体に存在すると考えられているが、5番目の酵素である2-C-methyl-D-erythritol-2,4-cyclodiphosphate synthaseの局在について直接的な証明はされていない。そこでこの酵素をラフレモンから単離し、chloroplast transit peptide領域をGFPと融合させ、植物に挿入したところ、葉緑体への移行を確認した(関西部会、2004年)。
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Research Products
(2 results)