2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03758
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
杉山 弘晃 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | レプトンフレーバー混合 / ニュートリノ |
Research Abstract |
レプトンフレーバー混合パラメーターのうち、2-3混合角θ(23)の精密測定は将来のT2K実験(J-PARCからのニュートリノビームを使用)におけるニュートリノ振動の測定により成されると期待されている。多くの場合、ニュートリノが2種類(2世代)であるとした単純な解析が良い近似を与えるが、T2K実験で期待されているような精密測定においてはニュートリノが3世代あるという効果が無視できなく成り得る。3世代性の効果は、パラメーター数の増加による不定性の増大と、同じ現象を与える解が2つ存在する効果(縮退問題)である。そこで、このような効果を取り入れた場合にθ(23)の決定精度がどのような影響を受けるかを調べた。その結果、2世代として近似的に得られていたものよりも決定精度が5割ほど悪くなることが明らかになった。この無視できない悪化は、3世代性を支配している1-3混合角θ(13)の不定性によるところが大きい。そこで、将来期待されるθ(13)の測定実験と組み合わせることでこの不定性を大幅に減らし、θ(23)の測定精度も2世代近似での値程度まで回復させることが可能であることも示した。しかし、縮退問題による悪影響は依然として問題であり、その解決は今後の課題である。 現在まで未決定であるθ(13)の測定を目指して、原子炉ニュートリノ実験が世界各地で計画されている。そのうちの1つとして日本のKASKA実験がある。この実験はニュートリノ源として複数の原子炉を使用する予定であるので、その複雑な状況による悪影響の大きさを解析的手法に基づいて調べた。結果、ニュートリノ源が複数あることによる悪影響はKASKA実験の場合はせいぜい0.4%のエラー増加であり、十分に小さいことが明らかになった(現在論文投稿中)。
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Research Products
(1 results)