2005 Fiscal Year Annual Research Report
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04J03758
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
杉山 弘晃 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | レプトンフレーバー混合 / ニュートリノ |
Research Abstract |
将来に計画されている長基線ニュートリノ振動実験では、振動パラメーターの決定に関して縮退問題という解の多重性が指摘されている。この問題の解決はレプトンフレーバー混合行列要素の決定において不可欠なものである。近年各国で盛んに議論されている将来の原子炉ニュートリノ実験は、未決定である1-3混合角の純粋測定だけでなく、縮退問題の解決の助けとなることも期待される重要な実験である。 実験の計画において測定感度の評価は重要である。通常それは数値計算によって得られるものであるが、そのままではブラックボックスの中であり感度の振る舞いを理解するのに十分とは言いがたい。そこで我々はなるべく数値計算に頼らずに解析的に測定感度を調べる手法を使っている。特に、将来の原子炉ニュートリノ実験では複数の原子炉からのニュートリノを同時に使う場合が多いが、このような複雑な状況では解析的な手法が非常に見通しを良くする。我々は原子炉の数および観測器の数が複数である状況についてこのような解析を行い、感度を与えるシンプルな式を得ることができた。(掲載済論文) また、さらに感度を高めるためにエネルギーをビンに区切った解析(スペクトル解析)が行なわれると期待されるが、その場合も同様に解析的な手法に基づいた研究を行なった。この場合は、前述のものほどシンプルなものには帰着できなかったが、かなり見通しのよい式を得ることに成功した。また、観測器のどのような配置が理想的であるかという点も明らかにできたと思われる。(論文投稿中) 前述の縮退問題の解決には複数の実験を組み合わせて情報を引き出すことが必要不可欠である。特に、原子炉実験と日本の長基線実験であるT2K実験の組み合わせは最も興味深いものであると思われる。この解析を注意深く行い、実際にどのていど縮退問題を解決可能であるかをブラジルの研究グループとともに調査した。(論文投稿中)
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Research Products
(1 results)