2004 Fiscal Year Annual Research Report
量子補正を繰り込んで古典的転回点における発散を除去できる半古典論
Project/Area Number |
04J03793
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
俵口 忠功 龍谷大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | WKB法 / 最急降下法 / 古典的転回点 / caustic / 漸近理論 / 繰り込み / divergence-free |
Research Abstract |
われわれのグループは本年度の研究までに、WKB法のsmall parameterを繰り込んで古典的転回点での発散を除去する方法「Divergence-free WKB法」を提案してきた(Annals of Physics, volume 312(2004)p177-267)。WKB法とは、微分方程式の解の漸近挙動を知る方法であり、量子力学と古典力学の橋渡しをするという意味からもいたって重要である。 昔から、漸近理論ではよく知られていたことだが、微分方程式の漸近挙動を求める方法と、ある積分の漸近表示を知ることは実は密接な関係があり、実際これまでのあらゆる漸近手法はこの両方の方法(微分方程式に対するものと積分に対するもの)から成っている。 以上の話を総合すると、われわれの新しいDivergence-free WKB法もまた、それと密接な関係にある積分の漸近表示を生み出すことができ、それを用いればcausticにおける発散を除去できるものと期待される。そしてそれは実際に可能であることがこれまでで分かっており、現在それをレポートする長大な論文を作成中である。もともとは本年度中に十分投稿し終えるものと期待していたが、それが長引いているのは、実は積分の漸近表示を求める方法(最急降下法という)にはこれまで良いレビュー論文が全くなく、われわれが自らそのレビューも作成しているためである。
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