2004 Fiscal Year Annual Research Report
六波羅探題の国家的機能の展開と公家政権・王権との関係の研究
Project/Area Number |
04J03837
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 英一 神戸大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 六波羅探題 / 公家政権 / 鎌倉幕府 / 寺社紛争 / 嗷訴 / 王権 / 院 / 京都大番役 |
Research Abstract |
今年度の成果は以下の通りである。 1、鎌倉時代の寺社紛争における六波羅探題の機能・役割とその変遷について研究し、以下の点を明らかにした。 (1)六波羅探題がその成立以降、寺社嗷訴・紛争処理のための機能を次第に拡大させていったこと。 (2)六波羅探題が紛争解決を主導する公家政権(院)と連携しつつ、紛争の政治的解決に関与したこと。 (3)鎌倉後期に幕府が紛争解決の実質的主導権を握ると、六波羅探題もそれを支える役割を担ったこと。 以上については大阪歴史学会中世史部会9月例会において、「鎌倉時代の寺社紛争と六波羅探題」の題で口頭報告し、現在論文を執筆中である。 2、以上の成果も組み込んで、博士学位申請論文「六波羅探題の成立・展開と公家政権」を執筆した。その内容については、まず六波羅探題研究の現状をまとめ、その課題を提示した。その上で、京都市中とその周辺の警備活動、京都大番役、寺社紛争の処理、畿内・西国の訴訟案件の処理と悪党の逮捕、以上4つの機能の分析を通して、六波羅探題の成立・展開過程と存在形態の変化、公家政権・王権(及び幕府)との関係と歴史的位置について明らかにした。本論文は2004年12月に大阪大学に提出し、2005年3月に博士(文学)の学位を取得した。 3、平安末〜鎌倉中期における京都大番役の実態について、その勤務の場に注目して考察し、大番と内裏・王権との関係とその変質について論じた。これについては、平安京・京都研究会編『院政期の内裏・大内裏と院御所(仮)』(東京大学出版会、2005年刊行予定)に、「王権・内裏と大番」の題で論文を発表の予定である。
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Research Products
(1 results)