2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03871
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
津田 照久 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | パンルヴェ方程式 / 無限次元可積分系 |
Research Abstract |
本年度は主に,パンルヴェ微分方程式のq-類似,所謂q-パンルヴェ方程式と無限可積分系の関係についての研究を行った. UC階層とは,以前に研究代表者自身が,普遍指標と呼ぼれるシューア多項式の一般化を特徴付けるために構成した新しい可積分系であるが,今回はその自然なq-類似として,格子q-UC階層を導入した.格子q-UC階層は2次元格子上の新しいクラスの離散可積分系を定め,それ自体興味深い対象である.さらに適当な周期条件と自己相似条件を課すことにより,格子q-UC階層からA_n^<(1)>,D_5^<(1)>,E_6^<(1)>型の<q->パンルヴェ方程式が導かれることを示した.この結果の直接の帰結として,q-パンルヴェ方程式の普遍指標による代数的な解が自然に従う.(古典的)パンルヴェ微分方程式がそのq-類似の連続極限として得られることを鑑みれば,上記の結果はパンルヴェ方程式の解に普遍指標が現れることの内在的な理由を,UC階層という無限可積分系を介して,与えていることになる. q-パンルヴェ方程式の一つの源に,有理曲面に付随したアフィンワイル群の双有理表現がある.今回はそれを,代数幾何的な手法を用いて,アフィン型とは限らないワイル群の表現に拡張した.得られたワイル群作用は全てトロピカル(全正値双有理写像による)表現であり,超離散極限を経て,組み合わせ論的な対応物を許す.さらに曲面上の因子の規格化された定義多項式を考察することから,タウ函数が構成されるが,それはKPやUC階層などの無限可積分系との関係を明示する際に威力を発揮するものである. 以上の結果について,雑誌論文として発表を行った.
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Research Products
(6 results)