2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J03899
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 亜記 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 紅藻 / 殻状紅藻 / イワノカワ科 / 植物分類学 / 分子系統学 |
Research Abstract |
日本新産種3種と,分類学的な検討が必要な既報告種2種について,種を確実に把握するために形態観察や分子系統解析を進めた。 1.日本新産属ポリストラータ属Polystrataは,世界的にも分類学的,生態学的知見がとても少ない。そこでPolystrata dura(この属のタイプ種)とP.foslieiを詳細に観察し,これまで未報告だった,この属の雌雄の生殖器官がイワノカワ属と全く同じ形態であることを明らかにした。さらに,これら2種を含むイワノカワ科について行った分子系統解析でも,この属がイワノカワ属に非常に近縁であることが支持された。また,ポリストラータ属は,南西諸島において,無節サンゴモ類と同様にサンゴ礁を形成する役割を担っていた。以上のことを踏まえ,ポリストラータ属2種の形態的特徴とイワノカワ科内での系統的位置についての論文を作成した。 2.イワノカワ属Peyssonneliaの日本新産種2種P.armoricaとP.harveyanaについて,形態観察のデータを追加し,論文を投稿した(現在は,査読に基づき改訂中)。 3.エツキイワノカワP.cauliferaと日本新産種P.capensisについて類似種と比較し,それぞれの種の独立性を検討したが,分類学的な変更をするのに十分な結果は得られなかった。それゆえ,現段階ではこの2種を残し,P.capensisを日本新産種として報告するため,観察を継続中である。 4.日本産P.dubyiは,精子嚢の形態が原記載と異なるため,誤同定である。そこで日本においてこの種が記載された北海道網走市の標本を観察したところ,北海道留萌市で新種記載したP.rumoianaと精子嚢の形態が類似していた。日本産P.dubyiとP.rumoianaが同種であるかどうか研究を継続中である。 5.標本採集は国内4地域のほか,海外2カ国において行った。フランスとアイルランドでは,イワノカワ属5種のタイプ産地で採集を行った。そして,それぞれの体構造と雌雄の生殖器宮をもとに確実に同定できた3種について,1.の系統解析に用いた。
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