2005 Fiscal Year Annual Research Report
海水中の生物起源温暖化物質の濃度・同位体による地球化学的物質循環に関する研究
Project/Area Number |
04J04338
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 磨 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタン / 同位体 / 地球化学 / 温暖化 / 生物関連気体 / フラックス / 南大洋 / 太平洋 |
Research Abstract |
外洋域での動態に着目して太平洋亜熱帯域、解氷時に生物生産が高く水柱で動物プランクトンやバクテリアによってメタンが生成していると考えられていることのみならず、南極底層水形成の場として南極海に焦点をしぼり、炭素・水素の同位体分子種の手法を用いて、生物関連温暖化気体であるメタンの地球化学的物質循環の履歴を読み取る研究と海洋学への応用的研究を行った。 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋地球研究船みらいによるMR05-05航海に参加して亜熱帯北太平洋、東シナ海で表層から深層まで、メタン濃度・炭素同位体比・水素同位体比を測定するためのサンプリングを行った。現在測定を進めているところである。この航海では、メタンの亜表層極大の要因と考えられている粒子内での微小な還元環境下でのメタン生成の定量的議論を行うために船上培養実験を行った。 南極海でのメタン動態と化学トレーサーとしての応用を目的として、南極底層水形成域として注目されているインド洋セクターアデリー島沖ケルゲレン海台で、同様のサンプリングを行った。測定の結果、表層での生成や大気海洋の気体交換の可能性が示唆された。今後水素同位体比の値を加えることでメタン生成に関してより詳細な解析ができ、また化学トレーサーとしての応用も期待できる。 更に、動物プランクトンが消化管内で生成するメタンの量的質的情報を得るために動物プランクトンの孵化、飼育実験を行い、メタン生成量の見積もりを行うための試験を行った。 また、メタン抽出濃縮ラインの一部と操作方法の改良を行い、メタンの炭素同位体比についてかつて1サンプル測定するのに2時間要していたところを、測定精度を落とすことなく1サンプル最大50分にまで短縮することに成功した。これにより、短期間で効率よくより多くのサンプルを測定することが可能になった。
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