2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機パラジウムおよび白金錯体を構成要素とするロタキサンの合成と機能
Project/Area Number |
04J04523
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
須崎 裕司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ロタキサン / 白金 / 有機金属 / クラウンエーテル / 水素結合 / 自己集合 / フェロセン |
Research Abstract |
有機白金錯体を構成要素とするロタキサンの合成に成功した。有機金属錯体部分は白金-酸素結合を介してロタキサンの軸分子に効率よく導入され、得られたロタキサンは質量分析および各種スペクトルによって同定した。ロタキサンの溶液中での性質を精査した結果、超分子構造は軸分子と、環状分子として用いたクラウンエーテルとの間の水素結合による自己集合によって形成され、なおかつコンポーネント分子が溶液中において動的な挙動を示すことが明らかとなった。また、導入した有機白金部分が高い反応性を有するために、単独の軸分子は溶液中で安定に存在できず、有機白金部分を含む軸分子は環状分子とのロタキサン形成によって溶液中での反応性が制御されている。さらにコンポーネント分子の動的な挙動を利用して、これまで一般的に不安定であると考えられてきた有機白金-酸素結合の可逆な解離、再結合過程を直接観測することにも成功した。軸分子に導入した有機白金部分の高い反応性を利用して、ロタキサンの骨格変換反応および分解反応の開発にも着手し、合成した有機白金錯体を含むロタキサンが、より高次の超分子化合物を合成するためのビルディングブロックとなりうることを示した。以上の有機金属ロタキサンの合成、および変換反応には、新規に開発した有機白金錯体およびその反応を積極的に用いた。そしてロタキサン内部に導入された有機白金錯体部分の反応性が、対応する低分子の有機白金錯体と比較して、類似である場合と、まったく異なった反応結果を与える場合があることがわかった。 一方でフェロセンを含有する軸分子の合成もおこない、多官能基化された軸分子を用いることで2分子の環分子を含むロタキサンを得ることにも成功した。またフェロセンに対する電気化学的な刺激を駆動力とするロタキサンの形成反応を見出すことにも成功した。
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