2004 Fiscal Year Annual Research Report
ATP合成酵素のF_0モーターは、ヘリックスの内部回転で動くのか?
Project/Area Number |
04J04582
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三留 規誉 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ATP合成酵素 / プロトンチャネル / 分子モーター / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
本年度では、ATP合成酵素のcリングを1本のポリペプチドで形成することに成功した。その結果、cリング中のcサブユニットの数が10個であることを明らかにした。 ATP合成酵素はcリングの回転と共役してプロトンを輸送している。cリングは多量体を形成しているため、回転メカニズムの詳細な解析が困難であった。 本年度私は、ATP合成酵素のcサブユニットの数を決定するために、好熱菌のATP合成酵素を用いて、cサブユニットをアミノ酸リンカーでタンデムに融合し多量体化したcサブユニットの遺伝子を作製し、ATP合成酵素の他のサブユニットとともに大腸菌内で発現させるシステムを開発した。c2,c3,・・・,c14の13種の融合多量体cサブユニットは、いずれもATP合成酵素に安定に組み込まれていた。これらのcサブユニットを持つ変異ATP合成酵素の機能を分析したところ、単量体(野生型)、c2、c5、c10を含む酵素は機能を保持するが、他の変異酵素は機能を失っていた。 このことからATP合成酵素のcリングは、10個のcサブユニットから構成されていることが確定した。この結果は、F_0モーターは36°を基本単位で回転していることを示し、120°単位で回転しているF_1モーター(ATP1分子で120°回転)と、回転に伴い角度のずれが発生することを示している。ATP合成酵素は中心のシャフトが回転中にねじれることで、F_0とF_1の角度のずれに柔軟に対応していることが示唆された。 現在、作製した融合10量体cサブユニットを用いて、F_0モーターの回転メカニズムの解析を進めている。
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Research Products
(2 results)