2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン伝導性イオン性液体と無加湿中温型燃料電池用高分子固体電解質膜への展開
Project/Area Number |
04J04877
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中本 博文 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン液体 / 燃料電池 / 電極触媒 / 高分子電解質膜 |
Research Abstract |
本年度は1つ目としてプロトン伝導性イオン液体を燃料電池用電解質として用いる際に重要となる水素の酸化、酸素の還元反応について、一般的な電極触媒であるPtだけでなく、Ag、Au、Fe、Mo、Nb、Ni、Pd、Sn、Ta、Ti、Zrといった金属やカーボンを用いて調べた。また2つ目としてプロトン伝導性イオン液体含有高分子電解質膜の合成を主に進めた。 1の結果については、水素の酸化触媒活性については白金族及び金において確認され、特に白金が酸性水溶液と同様に最も高い活性を示した。酸素の還元触媒活性について触媒活性の違いはあるがほぼすべての金属及びカーボンにおいて観測された。特にPt、Zr、カーボンが高い活性を示した。酸性水溶液中では電極自身の溶解または活性を示さないZrやCがイオン液体中において高活性を示したことは興味深く、イオン液体を用いることで空気極の燃料電池用電極触媒として非白金系電極の可能性を見出した。 2の結果については、プロトン伝導性イオン液体をポリビニリデンフルオライド(PVdF)多孔膜に真空含浸させる方法とポリベンズイミダゾール(PBI)とイオン液体を混合しキャスト法を用いて製膜することで2種類のプロトン伝導性イオン液体含有高分子電解質膜を合成した。初めのイオン液体含浸PVdF多孔膜の熱的性質は膜の空隙にイオン液体が物理的に保持されているため、構造支持体であるPVdF自身の性質に依存する結果であった。一方イオン液体含有PBI膜はPBIとイオン液体との間でプロトン交換が起こることでイオン液体が保持されている。つまりプロトン交換によりフリーなブレンステッド塩基が生成するため、この膜の熱的性質は生成した塩基の性質に依存することを明らかにした。
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