2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン伝導性イオン性液体と無加湿中温型燃料電池用高分子固体電解質膜への展開
Project/Area Number |
04J04877
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中本 博文 横浜国立大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン液体 / プロトン輸送機構 / アルキルアミン / オキソ酸 / 水素の酸化特性 / 酸素の還元特性 |
Research Abstract |
本年度は1つ目にプロトン伝導性イオン液体のプロトン輸送機構について調べた。2つ目として新規プロトン伝導性イオン液体を合成し、その熱的性質、イオン伝導性、水素の酸化、酸素の還元特性について調べた。 1つ目の結果についてはベンズイミダゾール(BIm)とビストリフルオロメタンスルホニルイミド(HTFSI)からなるプロトン伝導性イオン液体のプロトン輸送機構についてラマン分光測定、PGSE-NMR測定、熱分析測定、イオン導電率測定により調べた。その結果、本系は[BIm]/[HTFSI]=5/5、2/1の組成では単一の融点を示した。5/5の組成では熱的に安定な構造をとるが2/1の組成では熱安定性があまりない準安定構造をとることが明らかとなった。そしてこれらの組成におけるプロトンは主にBImの自由拡散と共に輸送される(ヴィークルメカニズム)。一方[BIm]/[HTFSI]=8/2のように多成分で形成される組成では複数成分間で、グロータスメカニズムと呼ばれるプロトン交換による早い拡散によってプロトンが輸送されることを明らかにした。 2つ目の結果については、アルキル鎖長の異なるアルキルアミンとオキソ酸からなるイオン液体を合成した。耐熱性はアルキルアミンとオキソ酸のΔpKa値が大きいものほど、アルキル鎖長が長いものほど高いことが明らかとなった。融点はカチオンとアニオン間での水素結合性が弱まるため、塩基に3級アミンを用いたものが比較的低くなることを見出した。イオン伝導性についてはアルキル鎖長が短いものほど高いことが明らかとなった。水素の酸化反応では1,2級アミンを用いたILが高い電流密度を示した。これは1、2級アミンが複数の活性プロトンを持つためである。そして酸素の還元特性はILを構成する酸に大きく依存することが明らかとなった。
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