Research Abstract |
第一次減数分裂前期で減数分裂を停止した卵子は,FSH, LHの刺激により減数分裂を再開する.近年,この減数分裂再開には,FSH, LHの刺激によりlansterolから合成されるMeiosis Activating Sterol(MAS)が関与することが報告された.一方,我々も,lanosterolからMASの合成を阻害すると卵子の減数分裂再開(GVBD)率が低下することを示した.しかし,この処理によりプロジェステロン(P4)合成も低下すること,P4を培地に添加することにより卵子のGVBD率が上昇することを明らかとした.この結果から,MASから合成されるP4が卵子の減数分裂再開が誘起させると推測した.そこで,MASからcholesterolの合成を触媒する酵素の発現(Δ14-reductase(14RD),Δ7-reductase(7RD))とその卵子の減数分裂再開に及ぼす影響について検討した.その結果,FSH, LHを培地へと添加すると,14RD,7RDの発現量が経時的に増加すること,14RD阻害剤(AY9944)あるいは7RD阻害剤(BM15.766)を培地に添加して培養すると,培養後の培地に分泌されているP4量,卵子のGVBD率共に低い値を示した.AY9944あるいはBM15.766を添加したときに低下したGVBD率は,培地へP4を添加することによりAY9944あるいはBM15.766無添加培地で培養したときのGVBD率と同度まで回復した.これらの結果から,ブタの卵丘細胞において,MASからcholesterolを合成する酵素の発現は,性腺刺激ホルモンによりその発現量を増加し,MASからcholesterolまでの変換が促進されること,その新規に合成されたcholesterolを用いてP4が卵丘細胞内で合成されることが明らかとした.
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