Research Abstract |
マウス体内において,LHサージにより穎粒層細胞が分泌するEGF-like factor(Ampiregulin, Epiregulin)は卵丘細胞にparacrine的に作用し,EGF受容体を介してマウス卵子の減数分裂再開,卵丘細胞の膨潤を促進することが報告された.AmpiregulinあるいはEpiregulinは,体外培養系においても卵丘細胞に発現し,卵丘細胞の膨潤を誘起させると考えられたことから,AmpiregulinあるいはEpiregulinの卵丘細胞における発現の有無とその発現経路について検討を行った.その結果,AmpiregulinあるいはEpiregulinは体外培養時の卵丘細胞においても培養開始後,2.5時間から20時間にかけて発現することが明らかとなった.それらの発現は,p38MAPKの抑制剤(SB203580)あるいはCox2の抑制剤(NS-398)により低下した.また,AmpiregulinあるいはEpiregulinの発現は,プロジェステロン受容体(PR)の拮抗剤(RU486)によっても低下した.プロスタグランディン(PGE2)の分泌にはp38MAPKが関与すること,プロジェステロン(P4)の分泌にはp38MAPKは関与しないことから,以上の結果から,p38MAPKにより分泌されるプロスタグランディン(PGE2)-PGE2受容体(EP2,4)系およびP4-PR系がAmpiregulinおよびEpiregulinの発現に関与することが明らかとなった.さらに,AmpiregulinおよびEpiregulinの発現は,EGF受容体の阻害剤(AG1478)によっても低下することから,PGE2-EP2,4系あるいはP4-PR系によって分泌されるEGF-like factorはautocrine的に作用し,自身の発現を増加することが明らかとなった.
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