2005 Fiscal Year Annual Research Report
重要他者に対する再確認傾向が抑うつの発生・回複プロセスに果たす役割
Project/Area Number |
04J05290
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
勝谷 紀子 日本大学, 文理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重要他者に対する再確認傾向 / 抑うつ / 精神的健康 / 臨床社会心理学 / 養育態度 / 対人認知 |
Research Abstract |
重要他者に対する再確認傾向(以下,再確認傾向)とは,自分は重要他者から愛されているのか,自分は価値がある存在なのか,自分はどれだけ優れているのかなど,自分の存在意義に関わる側面について重要他者に対して過度に確認を求める傾向である.再確認傾向を重要他者に対する動機づけと対人行動の傾向ととらえ,再確認傾向が高い人の対人行動や感情の問題を検討した.再確認傾向が高い人では,ストレスフルなネガティブイベントを経験した後の対処行動がかえって抑うつの持続につながる可能性を示した(社会心理学研究第21巻第3号に掲載).また,ストレス経験の際,再確認傾向の高い人は感情をぶちまけるなど重要他者に働きかける形で対処行動をおこなっていた(2005年の日本社会心理学会で発表). このように,再確認傾向は対人行動やネガティブ感情との関連が示されているが,再確認傾向自体の形成過程が明らかでない.そこで,大学生とその親を対象に郵送調査をおこない,親の養育態度と子の再確認傾向の関連を検討した.その結果,子への統制の仕方が一貫しない養育態度であるほど子の再確認傾向が高いことが示された(2005年の日本心理学会で発表).これをふまえ,両親の養育態度と子の再確認傾向との関連を検討した.父親が保護的な養育態度であるほど,子から見て母親が過保護な養育態度であるほど,子の再確認傾向が高いことが示された(2006年に学会発表予定). さらに,再確認傾向の高い人が重要他者の行動や感情をどう認知するかを調べた.重要他者との間でライフイベントを経験した際,重要他者の行動の意図やその時の感情をどう推測したかを自由記述データで予備的に検討した.全体的に,ポジティブイベントではポジティブに,ネガティブイベントではネガティブに重要他者の行動やその意図を推測する方向の結果となった(2005年の日本パーソナリティ心理学会で発表).
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