2005 Fiscal Year Annual Research Report
スローンデジタルスカイサーベイ銀河数密度場の位相相関解析
Project/Area Number |
04J05594
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
日影 千秋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙大規模構造 / 宇宙マイクロ波背景放射 / 原始密度ゆらぎ / 統計解析 / 位相相関 / トポロジー |
Research Abstract |
大規模な銀河サーベイプロジェクト、スローン・デジタル・スカイ・サーベイによって、銀河100万個の宇宙地図が作成されつつある。銀河の空間分布パターンは、宇宙に含まれるバリオン、ダークマター、ダークエネルギー等の組成を明らかにするだけでなく、銀河の個数とダークマターの密度の相関関係を調べる上でも有用である。今回、これまで利用されていなかった、密度分布をフーリエ変換したときに出てくる位相値の情報を使って、初めて銀河のクラスタリングの性質を調べることに成功した。その結果、ダークエネルギー入りの冷たい暗黒物質による宇宙のモデルによって矛盾なく説明できることがわかった。また、銀河の個数とダークマター密度の非線形性を定量的に調べることにも成功した。 宇宙マイクロ波背景輻射(CMB)は、現在の構造の起源となる宇宙初期のゆらぎを直接反映しており、宇宙初期に起こったと考えられる急激な膨張(インフレーション)の様子を調べる上で、非常に有用である。インフレーションの性質を調べる手法のひとつとして、CMBの温度ゆらぎのガウシアン統計からのずれを測る方法がある。今回、ミンコフスキー汎関数という、密度ゆらぎの形状・トポロジーを調べる指標を使って、ガウシアン統計からのずれを解析的に記述する方法を確立したので、近く論文として公表する。またその方法を使って、WMAP衛星による詳細なCMB観測の結果へ応用し、ガウシアンからのずれへの制限を与える予定である。
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Research Products
(2 results)