2004 Fiscal Year Annual Research Report
高次捕食者が生物多様性維持に果たす役割の解明 ボルネオ熱帯林における検証
Project/Area Number |
04J05653
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 崇 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | トッププレデター / キーストーンピーシーズ / 生物多様性 / 群集構造 / ヒメサスライアリ / 熱帯雨林 / 非致死的効果 / 種間競争 |
Research Abstract |
マレーシアサラワク州ランビル国立公園において、アリスペシャリスト捕食者のヒメサスライアリが地表性アリ群集の構造に及ぼす影響を解明するため、今年度はヒメサスライアリの生活史、とくに捕食行動の詳細を明らかにすることを目的に調査を行い、以下の結果を得た。 1.ヒメサスライアリの種の同定 調査地にはAenictus laeviceps, A.dentaus, A.inflatus, A.gracilis, A.ceylonics, A.sp1,A.sp7の7種類のヒメサスライアリが生息することがわかった。このうち、もっともコロニー数が多かったのは、A.laevicepsで、A.dentatus, A.gracilisも比較的多く観察された。 2.ヒメサスライアリのコロニー数推定 調査地において見回り調査法によりヒメサスライアリのコロニー数を推定したところ、もっとも多いA.laevicepsで、0.35/hだった。また、国立公園周辺の森林で同様にヒメサスライアリのコロニー数推定を行ったところ、孤立林では原生林と同程度のコロニー数であったが、2次林ではヒメサスライアリのコロニーは発見されなかった。 3.捕食行動の解明 ヒメサスライアリは、昼夜の区別なく捕食・移動を行っていた。A.laeviceps, A.dentausは主に地表の社会性昆虫を襲撃し、A.gracilisは樹上のアリを攻撃していた。ビバークから被攻撃アリのネストまでの平均距離は11.1mだった。ビバーク間の移動も昼夜を問わず行われ、平均移動距離は、19.2mだった。
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