2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボン物質の創製・物性評価と電子デバイスへの応用
Project/Area Number |
04J05767
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
嶋田 行志 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 金属内包フラーレン / トランジスタ / ラマン分光法 |
Research Abstract |
今年度は、様々な金属内包フラーレンナノピーポットの創製とその構造観察、ナノチューブトランジスタ特性の評価とその動作機構の解明、ナノカーボン物質の二重共鳴ラマン分光法による評価を行った。 本研究で創製されたフラーレンナノピーポットは、高分解能透過型電子顕微鏡観察によって、その特異な構造と物性が明らかにした。Tb_2@C_<92>金属内包フラーレンピーポットの観察においては、単一金属原子の挙動とマニピュレーションを実現した。また、金属内包フラーレンのナノチューブ内部への導入率は金属内包フラーレンの電子状態に極めて依存する事が判明した。得られた結果をもとにした、金属内包フラーレンの選択的導入実験にも成功した。このことは、ナノレベルでの分子ふるいが可能である事を示している。 カーボンナノチューブはそれ自身、半導体と金属になりうるが、その物性を制御する方法は未だ確立されていない。そこで、カーボンナノチューブの内部空間にフラーレン分子を内包させる事で、カーボンナノチューブのバンドギャップを制御する事に成功した。バンドギャップは、1.フラーレンケージ上の電荷の数、2.フラーレンケージのサイズで緻密に制御する事が可能であり、ナノチューブトランジスタの応用に向けて極めて重要な指針を見いだしたと言える。一方で、フラーレン分子でなく、ナノチューブを内包した場合、すなわち、二層カーボンナノチューブトランジスタは、極めて鋭いサブスレッショルド値を示し、二層カーボンナノチューブが高速デバイスに適している事を発見した。 ナノカーボン物質の非破壊評価には、ラマン分光法が極めて重要な役割を果たしている。とくに、ナノチューブの質の善し悪しを示すD-bandは二重共鳴ラマン散乱に起因する。そこで、本研究では、二重共鳴ラマン分光法を用いた、ナノチューブデバイスの非破壊評価を目指した研究を行った。今年度は、これまで同定がなされていなかった、2450cm^<-1>付近のラマンピークを新たに同定する事に成功した。
|
Research Products
(7 results)