2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J05787
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 愼一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ルシフェリン / ルシフェラーゼ / イミダゾピラジノン / LC / ESI-MS / 安定同位体 / ルシフェリシ生合成 |
Research Abstract |
ウミホタルVargula hilgendorfiiにおけるウミホタルルシフェリンへのアミノ酸の取り込みに対する立体選択性を調査した。 昨年度、ウミホタルルシフェリンを構築する炭素および窒素元素はトリプトファン・イソロイシン・アルギニンの3つのアミノ酸に由来することを明らかとした。また、ウミホタルの体内に取り込まれたL-トリプトファンとL-イソロイシンでアミノ基の脱離と再結合が一部生じているが示唆された。 ウミホタルルシフェリンの化学構造にはイソロイシンのC-3炭素に由来する不斉炭素が存在するが、不斉炭素の立体はS-配置であることから、ルシフェリン生合成はL-イソロイシン、D-alloイソロイシンのどちらか一方(もしくは両方)が利用されることが考えられた。そこで、D-トリプトファンとL-トリプトファンの重水素標識化体および重水素化イソロイシンの4つの立体異性体(L-,L-allo,D-,D-allo)を不斉合成し、それらのウミホタルルシフェリンへの取込みを質量分析により観測した。その結果、ウミホタルルシフェリン生合成にはL-トリプトファンおよびL-イソロイシンが選択的に利用されることが明らかとなった。 次に、これまでのウミホタルルシフェリンの生合成研究の成果を応用し、生活環の異なるウミホタルに近縁な生物に於いてもルシフェリン生合成能を有するかを調べた。その結果、近縁種もウミホタルと同様に遊離のアミノ酸からウミホタルルシフェリンを生合成できることが明らかとなった。
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