2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の分子デザインとその抗がん剤としての応用
Project/Area Number |
04J06082
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
前田 泰司 関西大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HDAC阻害剤 / ヒドロキサム酸型HDAC阻害剤 / 2-アミノベンズアミド型HDAC阻害剤 / CCD-1059SK / 血中安定性 |
Research Abstract |
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤は、p21/WAF1、Gadd45等のがん抑制遺伝子を活性化することによって、がん細胞の細胞周期停止やアポトーシスを引き起こすことから、新規抗がん剤として注目されている。私は、新規HDAC阻害剤を創製し、それを抗がん剤の開発へ繋げることを目的として研究を進めてきた。その新規HDAC阻害剤を創製するに当たり、HDAC-like proteinのX線結晶回析データを基に、従来にない構造の新規HDAC阻害剤を設計してきた。その過程で、IC_<50>39nMのHDAC阻害活性を有し、P388白血病細胞移植マウスモデル試験で顕著な延命効果(T/C=185%、5匹中1匹は腫瘍完全消失)を示すヒドロキサム酸型HDAC阻害剤K-32を既に見出している。この度私は、K-32の構造を基盤としてさらなる構造の最適化を目指し、合成を展開した。即ち、K-32のヒドロキサム酸基やアミド基に代わり、2-アミノベンズアミド基や2-ヒドロキシエチルアミノ基を導入した化合物を合成し、これらHDAC阻害剤の有効性について検討した。その結果、2-アミノベンズアミド型HDAC阻害剤K-198は、現在臨床開発中のSAHAやMS-275と同等のがん細胞増殖抑制活性を示した。また、K-198は、K-32と比べて、ヒト正常繊維芽細胞(CCD-1059SK)に対して毒性が顕著に減少し、SAHAやMS-275より低い毒性を示した。更に、K-198は、ヒト血漿中安定性試験で、SAHAを上回る安定性を示し、MS-275と同等の安定性を示した。以上の結果から、K-198は、癌治療薬の候補化合物であることが期待される。
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Research Products
(2 results)