2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06219
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
金子 悟 お茶の水女子大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ニュートリノ / 離散対称性 / レプトジェネシス / 超対称性 / 大統一模型 |
Research Abstract |
1、フレーバー対称性として単純な非アーベル的離散対称性を用いることによりニュートリノ模型を構築し、その性質を調べた。この模型では右巻きマヨラナニュートリノを導入し、シーソー機構を用いている。特にD4対称性に基づいた模型では、大気ニュートリノ振動実験で確立した最大混合角と、原子炉ニュートリノ振動実験で確立した微小な混合角のいずれも説明することが可能である。量子効果などによって、模型が対称な極限からずれることが一般に考えられるが、この場合に上記のニュートリノ混合角の予言値がどのくらいずれるかを定量的に明らかにした。これは将来のニュートリノ振動実験に対して重要なインパクトを与えるものと言える。 また、単純な非アーベル的離散対称性の一つであるquaternionに基づいたニュートリノ模型を初めて構築し、この模型の予言値は現在のニュートリノ振動実験から許されていることを確認した。この模型ではヒッグス三重項を導入することによりニュートリノに質量を与える。 2、ゼロ成分をもつような質量行列を仮定し、超対称性SO(10)大統一理論に基づいたニュートリノ模型を構築し、その性質を調べた。この模型の予言値は現在のニュートリノ振動実験から許されていることを確認した。この模型におけるμ→eγなどのレプトンフレーバーの破れの大きさが実験からの制限を満たすことを確かめた。また、この模型においてレプトジェネシスによる宇宙のバリオン数生成が可能であることを示した。我々の模型では右巻きニュートリノの1,2世代の質量がほとんど縮退するが、この場合にはCP対称性の破れが増幅されることが知られており、この機構に基づけば小さいYukawa結合の場合でもレプトジェネシスによる宇宙のバリオン数生成が可能であることがわかった。
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Research Products
(4 results)