2004 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク質のコンホメーション変化誘導の構造要因と誘導要因センシング
Project/Area Number |
04J06370
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Research Institution | Kyushu University |
Research Fellow |
松島 綾美 九州大学, 大学院・医学研究院, 特別研究院(PD)
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Keywords | プリオンタンパク質 / 抗体 / 構造解析 / 牛海綿脳症(BSE) |
Research Abstract |
(1)正常型プリオン構造に重要な分子内相互作用部位の同定 マウスのプリオンタンパク質の発現を行った。N端ドメイン(アミノ酸残基23-120位に相当)をグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として大腸菌で発現し、アフィニティーカラムで精製の後、GST部分を酵素で切断してN端ドメインのタンパク質を得た。このタンパク質の質量分析解析を行ったところ、二量体、三量体に相当する質量を持つ分子ピークが観測された。この結果は、通常「特別な構造を持たない」とされるN端ドメインが、プリオンの多量体化に関与することを示唆する初めての結果である。 そこで、N端ドメインのオクタリピートと呼ばれる、8アミノ酸残基が4回繰り返される領域に注目した。このリピート単位を1、2、3、そして4回繰り返すペプチドを化学合成し、発現タンパク質と同様に質量分析を行ったところ、リピート数が2以上のペプチドでは多量体が観測されたが、1回のみのペプチドでは観測されなかった。これより、繰り返し配列の存在が多量体形成に重要であることを示した。 (2)プリオン構造の特異的認識抗体の調製 Ac-GGGOXGGGOXGGG-NH2(O=酸化アミノ酸残基、X=プリオン配列中の隣接残基、G=Gly)のアミノ酸配列を持つペプチドをそれぞれ化学合成した。これを用いてマウスモノクローナル抗体作製を行い、抗原ペプチドを特異的に認識する抗体を選別した。また、N端ドメインの部分配列に由来する抗体も作製し、この抗体は、pH、陽イオンの有無などにより、部分ペプチドを特異的に識別することが判明した。
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Research Products
(5 results)