2004 Fiscal Year Annual Research Report
流体と水面波を記述する非線形偏微分方程式の適切性と解の挙動について
Project/Area Number |
04J06513
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬片 純市 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 渦糸 / 水面波 / 適切性 / 分散型方程式 / 初期値問題 / 漸近挙動 / 安定性 / 特異積分作用素 |
Research Abstract |
本年度は渦糸運動や水面波の動きを記述する非線形分散型方程式について,適切性及び解の漸近挙動という視点から考察した. 1.非線形分散型方程式の適切性 非線形分散型方程式の1っであるBenjamin-Ono (BO)方程式の適切性について研究を行った.この方程式は水面波の動きを記述する方程式である.水面波の動きを記述する方程式としてKorteweg-de Vries (KdV)方程式が有名であるが,BO方程式はKdV方程式と似た性質を持つ一方で,方程式の中にHilbert変換という非局所的な項を含むというところが特徴的である.このHilbert変換は特異積分作用素であり,取り扱うことが非常に難しい.われわれは擬微分作用素の理論を用いる事によりこの困難を克服し適切性を示す事ができた. 2.非線形分散型方程式の解の挙動 渦糸運動を記述する4階非線形シュレー・ディンガー型方程式の解の漸近的な振る舞いについて考察した. 解の漸近挙動を調べる際,その線形化方程式の基本解の性質が重要となる.(2階の)非線形シュレーディンガー方程式の場合,その線形化方程式の基本解はフーリエ変換により具体的に求めることができる.しかしながら,4階非線形シュレーディンガー型方程式の場合はその線形化方程式の基本解を具体的に求めることができない.より詳しく述べると,基本解は振動積分を用いて表わす事ができるが,具体的にその積分値を求めることができない.そこでわれわれはstationary phase methodを用いる事によりその基本解の漸近展開を計算した.この計算結果から4階非線形シュレーディンガー型方程式の解の漸近形をある程度推測することができた. 現在は,実際に解がその漸近形に近づくという事を証明している段階である.
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