2004 Fiscal Year Annual Research Report
流体界面系における濡れ-非濡れ転移の研究から線張力の研究への新展開
Project/Area Number |
04J06576
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Research Institution | Kyushu University |
Research Fellow |
高田 陽一 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 線張力 / 濡れ-非濡れ / 表面間力 / electrowetting / 国際研究者交流(アメリカ) |
Research Abstract |
3相が接してできる界線に働く線張力の本質を解明するため、すでに確立した線張力測定を基に研究を行ってきた。 1.非濡れ-濡れ転移点前後での測定から、線張力の符号が正から負へ変わることが分かった。微小な線張力(10^<-12>N程度)を自作の測定装置で測定でき、線張力の重要な特徴である負値を実験から得ることができた。 2.3相接触領域での自由エネルギーと線張力の相関について考察した理論を我々の実験系に適用することで、濡れ転移に伴う符号の変化が理論的に妥当であることが証明された。 さらに線張力の本質に迫るため、次の2つのアプローチから研究を進めている。 1.線過剰熱力学量による3相接触領域の解析-熱力学的アプローチ- 熱力学的解析のために線張力を界面活性剤溶液濃度の関数として精度よく測定したが、光の干渉による光学的測定法であることが測定可能な二面角を制限し、広範な濃度領域にわたってデータを得ることが困難であった。 以下に示すアプローチと併せて適切な実験系を検討している。 2.分離圧が介在する線張力と表面間力の結合-分光学的アプローチ- 上述した理論を用いて、線張力の起源を液体薄膜に働く種々の表面間力(van der Waals力、電気二重層力、溶媒和力など)に求める。ここでは特に電気二重層力の寄与に注目する目的で、新しく電場下で誘起される濡れ転移(electrowetting)に取り組む。 線張力測定に加えて、薄膜に関する微視的な情報を得るため、現在アメリカ・カンザス州立大学Bruce Law教授の下で、偏光解析を用いたelectrowettingの基礎実験に着手している。
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Research Products
(1 results)