2004 Fiscal Year Annual Research Report
Sprouty/Spreadの生理機能とがん細胞の増殖転位における作用の解明
Project/Area Number |
04J06636
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武富 孝治 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 増殖因子 / チロシンキナーゼ / MAPキナーゼ / 神経細胞 / 食道 / 消化管 / ノックアウトマウス / Ras |
Research Abstract |
増殖因子やサイトカインが受容体に結合すると、細胞内のチロシンキナーゼの活性化が起こり、続いてSTAT経路やRas/MAPキナーゼ経路を活性化することで、遺伝子発現や細胞機能の変化が起こる。サイトカイン・増殖因子によるシグナル伝達経路の大筋はほぼ解明されつつある一方、シグナルの停止機構や受容体間のクロストーク、さらには同一のサイトカインや増殖因子がどのようにして増殖、分化、増殖停止など全く異なる細胞反応をもたらすのかなどのシグナル制御に関する分子機構の解明は今後の課題である。申請者らは最近Ras/MAPK経路を抑制するSproutyに関連した新規分子Spredをクローニングした。Sproutyは元来ショウジョウバエにおいて増殖因子によるRas/MAPキナーゼを抑制する分子として発見されたものであるが、その作用機構や、哺乳類での生理機能はほとんど明らかにされていない。本研究では、Sprotuy2についてノックアウトマウスの作製を行い表現型の解析を行った。Sproty2ノックアウトマウスは生後4週間後より成長障害がみられるがその原因は食道と胃の噴門部における食物の通過障害であった。また腸にガスが溜まり巨大結腸の症状も示した。消化器の神経叢を調べたところ神経の数が増えておりアセチルコリンによる収縮力も増大していた。Sprouty2が欠損することによって神経性増殖因子のシグナルが強く入り消化器運動の制御障害をもたらしているものと思われた。今後神経細胞におけるsprouty2の機能解析を行う予定である。
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