2005 Fiscal Year Annual Research Report
非天然補欠分子を導入した超高機能化ヘムタンパク質の創製
Project/Area Number |
04J06764
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 大 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 再構成 / 鉄ポルフィセン / 酸化触媒反応 / ペルオキシダーゼ / 過酸化水素 |
Research Abstract |
本報告者は活性中心にあるヘムを人工補欠分子に置換する補欠分子再構成法によって、ヘムタンパク質の機能改変・向上を目指している。生体内で酸素貯蔵の役割を担うヘムタンパク質であるミオグロビンの機能改変を試み、合成によって得られたヘムの構造異性体である鉄ポルフィセンを有する再構成ミオグロビンの構築を行った。この再構成ミオグロビンは、過酸化水素存在下の2-メトキシフェノール、チオアニソール、グアイアコールの酸化反応において、天然のミオグロビンよりも反応の初速度の向上することが判明した。さらにこの再構成ミオグロビンは過剰の過酸化水素と反応することで、天然のミオグロビンには存在しない酸素錯体(compound III)の形成が確認された。これらの知見をもとにして、非常に酸化触媒活性の高いヘムタンパク質である西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を機能向上することで、天然系を超える酸化触媒の構築を試みた。ミオグロビンと同様にHRPを酸変性させることでヘムの除去し、さらに鉄ポルフィセン溶液を加え、カラムクロマトグラフィーで精製することで再構成HRPを得ることができた。実際にこの再構成HRPと天然のHRPの過酸化存在下における基質の酸化触媒活性の評価を行った。基質としては2,2'-azidobis(3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid)diammonium salt(ABTS)を選択し、その酸化反応を追跡した。その結果、再構成HRPによる反応初速度は天然のHRPよりも約2倍向上するという結果が得られた。また再構成HRPと過酸化水素の反応における中間体を分光学的に追跡したところ、酸化活性種であるcompound Iの形成が確認された。このように、鉄ポルフィセン有する再構成HRPの酸化触媒活性と、水系における鉄ポルフィセンの活性中間体に対する新しい知見を得た。
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