2004 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントな運動をする分子モーターの3次元的動態の研究
Project/Area Number |
04J06776
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 直紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 精子 / 鞭毛 / ダイニン / 分子モーター / 屈曲 / 振動 / ナノメーター計測 / 生物物理 |
Research Abstract |
背景 精子鞭毛は、9+2構造をもち、その屈曲運動はダイニン分子モーターによる微小管の滑り運動によって生じる。また、屈曲運動とは別に、鞭毛軸糸をガラス面上に付着させたとき、軸糸が高速微小振動(振動数300Hz、振幅8×Nnm、N;小さな値の整数)を起こすことが知られている。この高速で起こる振動現象は、振動時に微小管に作用している複数のダイニン分子モーターの協同的な振る舞いによるものと想像されるが、その分子機構については不明な点が多い。 目的 本研究では、鞭毛軸糸における高速微小振動の発生機構を解明することを目的とする。 今年度の研究実績 本年度の研究実績は以下の2つである。 (1)4分割フォトダイオードを用いた高性能の位置計測装置を完成させた。この位置計測装置が、2次元で数10pmの位置計測精度、1m秒の時間計測精度をもつことを確認した。これは先行研究(Kamimura & Kamiya,1989)と時間計測精度では同等であるが位置計測精度は数10倍向上している。 (2)高速微小振動時のウニ精子鞭毛軸糸上に直径1μmのマイクロビーズを付着させ、そのビーズの動態を作成した計測装置を用い記録した。これにより計測装置が実用化できるようになった。 現在は、特殊な暗視野照明条件によりレーザービームを効率よく集光させる新しい光学系を用い、(1)に記した高精度計測装置と併用することで、鞭毛が高速微小振動をしているときのビーズの動きをより高い位置計測精度で詳細に計測しようと試みようとしている。また、高精度計測を実現するために欠かすことのできない、サンプルの超精密位置決め装置を設計、作成も試みている。
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