2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06948
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
エグリントン みか 上智大学, 文学部, 特別研究員PD
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Keywords | 英国 / 演劇 / シェイクスピア / 性暴力 / 表象 / ルネサンス / エリザベス朝 / ジャコビアン朝 |
Research Abstract |
本研究は1590年代から1610年代の英国ルネサンス演劇に焦点を当て、男性/女性、主体/客体、加害者/被害者など権力関係によって定義や問題の見え方が変わってくる性暴力がいかに表象/行使されたのかを、シェイクスピア作品に焦点を当てて捉え直すことを目的とする。レイプを強制された性行為としてだけではなく、女性/国家身体の強奪、結婚、ポルノグラフィなどの多義的な事象と絡めた論文‘The Circulation of the Raped or Pornographical Lucrece in Early Modern Ideology'に現在取り組んでいる。 初期近代と現代の間にある差異を意識しながら現実の舞台を取り巻く状況を射程に入れ、フェミニズム、ポストコロニアリズム、インターカルチュアリズムなどの諸理論を用いて、現代にも通じる権力/暴力の諸相を照らし出すことを研究の特色としている。ゆえに『ハムレット』の翻案劇の形式をとりながら、西洋と東洋の関係を鋭く批判するアングルを備えたスレイマン・アルバッサームの‘Al Hamlet Summit : A Political Arabesque'を東京国際芸術祭2004の公演に向け翻訳できたことは幸運であった。翻訳とともに西洋古典崇拝の利用-擬態-打破という作品成立過程と舞台を取り巻く視線のポリティックスに関する論考を、演劇誌『舞台芸術』に発表した。また、短文ではあるものの『ロミオとジュリエット』の演劇史概観など、海外や日本の演劇に関する批評、翻訳、対談を各々の媒体に掲載した。 加えて、多様な舞台形式で活躍する日本の男優のみによって演じられた、日英共同作品『ハムレット』(ジョナサン・ケント演出、野村萬斎主演)に見る諸問題を論じた‘Constructing and Consuming ‘Intercultural' Hamlet--"The Pretended World"'を、シンガポールで開催されたPerformance Studies international#10,‘Perform : State : Interrogate'にて口頭発表した。目下この発表文を加筆修正して紙面で発表する作業を、アメリカで開かれる同国際学会#11,‘Becoming Uncomfortable'で口頭発表する‘"Uncomfortable"Voices in Sulayman Al-Bassam's Al Hamlet Summit'の準備と平行して行っている。
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Research Products
(7 results)