2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06948
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
エグリントン みか 上智大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 英国 / 演劇 / シェイクスピア / 性暴力 / 表象 / ルネサンス / エリザベス朝 / ジャコビアン朝 |
Research Abstract |
本研究は英国ルネサンス演劇に焦点を当て、権力関係によって定義や問題の位相が変わってくる性暴力がいかに表象/行使されたのかを捉え直すことを目的としている。この研究を英国現代演劇に応用し、文化的・宗教的「マイノリティ」であるシーク教徒の聖域でおきたレイプ事件を扱った芝居を巡る批評「上演/抗議(パフォーマンス)を巡る英国シーク教徒の地政学」を、フィリピンの演出家が書いたエッセイの翻訳と合わせて、演劇雑誌『舞台芸術』に掲載した。 初期近代と現代の間にある差異を意識しながら現実の舞台を取り巻く状況を射程に入れ、フェミニズム、ポストコロニアリズムの視点から、権力/暴力の諸相を照らし出すことを研究の特色としている。この一環として、西洋と中東の関係を批判するアングルを備えたスレイマン・アルバッサームの‘Al Hamlet Summit : A Political Arabesque'に関する論考を、戯曲翻訳の経験から得た観点を交えてアメリカの国際演劇学会学会Performance Studies International #11で口頭発表した。これにさらなる修正を加えたものを、東京大学のColloquiumで発表し、論集に論文を掲載予定である。今年三月に行われる東京国際芸術祭において、アルバッサームの新作『カリラ・ワ・ディムナ-王子たちの鏡-』の翻訳を担当しており、プレスリリースに「アルバッサーム版カリラ・ワ・ディムナ ペンで剣に抗う者たちの鏡」という論考も寄稿している。 その他、1960年代のニューヨークで活躍した日本の女性アーティストにフェミニズムの視点から焦点を当てた本の書評を、パフォーマンス・スタディーズのウェッブサイトPerforming Paradiseにて行っている。加えて研究業績には挙げなかったが、ステファン・グリーンブラット、チャールズ・ミー共作『カルデニオ-シェイクスピアの失われた戯曲に触発されて-』、クラウス・フェーリング作『ライト』の戯曲翻訳、東京国際芸術祭の劇評通信や『ユリイカ』の「小劇場特集」(青土社2005.7)などで演劇批評を行った。
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Research Products
(7 results)