2004 Fiscal Year Annual Research Report
手工科教育論における岡山秀吉の理論的特質と「教育的価値」の内実
Project/Area Number |
04J07134
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
平舘 善明 東京学芸大学, 大学院・連合学校教育学研究科, 特別研究員
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Keywords | 技術教育 / 手工科 / 岡山秀吉 / 教材論 / 教育的価値 / 復原 / 普通教育 / 近代日本 |
Research Abstract |
1.近年、日本政府の政策の一つの柱として、初等教育からの"職業観・勤労観の育成"が課題となっているが、戦後日本の小学校では、この課題を教科指導に位置づける上での具体的な手だてや一貫したカリキュラムを提示することは困難である。そこで、第2次大戦前、初等教育において8年間一貫して「技術及び労働の世界への手ほどき」を施す側面をもつ教科として位置づいていた手工科(1886〜1941年)に着目した。本研究は、中でも導入期に比べて研究蓄積の薄い成立と変容の時期(1900〜1925年)に焦点をあて、とりわけ当時の手工科教育の指導的役割を果たしていた岡山秀吉の手工科教育論を教材論の視点から国際的水準において解明することで、現下の課題への示唆を得ようとするものである。 2.(1)本年度は、既存の研究成果にもとづき、第1に、岡山の手工科教育論の展開の契機となった欧米留学の足取りを国内外の史料から分析し、第2に、岡山の木工教材を復原することを通して彼の技能教授過程の分析を行った。(2)その結果、第1の点については、(1)滞在期間から判断すると、岡山は合衆国の手工を重要視し、(2)なかでも、道具に関する体系的な教授法をもちえていたボストン・スロイド養成学校と、「現代文明の基礎としての産業」を対象とし、人間の生活様式にとってもつ技術の意義を教える教科として定義づけられたコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ附属ホーレスマン校産業科の教育実践を高く評価していたことを解明した。第2の点については、(1)玩具や理科実験器具を含む、生活や生産に関わる「製作題目」をとりあげつつ、(2)その「製作題目」の配列は、そこに含み込まれた鋸の縦挽きや鉋の木口削りといった「教授事項」が系統的に位置づけられていることから、(3)岡山は、発達段階を考慮しつつ、子どもに工業に関する基礎的技能をつかませることをねらいとし、それを教材に的確に具現化していたことを概ね解明した。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Development of Testing Tool for International Technological Literacy Assessment among Japan, Korea, and the U.S.A.2004
Author(s)
Tanaka Yoshimi, Phillip L.Cardon, Rho Tae-Cheon, Franzie Loepp, Kim Young-Jong, Choi Yu-Hyun, Sakaguchi Kenichi, Hikida yoshito, Hiradate Yoshiaki, Kinoshita Riew, Otani Yoshimitsu
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Journal Title
学校教育学研究論集 第11号
Pages: 143-152