2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病におけるβアミロイドの蓄積および神経毒性に関わる因子の解析
Project/Area Number |
04J07235
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高田 和幸 京都薬科大学, 薬学部, DC2
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / high mobility group box protein-1 / ミクログリア / ファゴサイトーシス / 低分子量複合体 / 神経毒性 / モデル動物 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)は、高齢に伴って発症頻度の高まる神経変性疾患であり、脳において細胞外βアミロイドタンパク質(Aβ)が線維状に異常蓄積することにより形成される老人斑や、異常にリン酸化されたタウタンパク質が神経細胞内に蓄積した神経原線維変化などの病理学的特徴を示す。家族性ADの連鎖解析で原因遺伝子が発見され、それらの変異がAβの産生量を増加させることが明らかになった。一方、ADの大部分を占める孤発性AD患者脳では明確なAβの異常産生は認められず、老人斑の形成には加齢や機能分子によるAβ分解系の抑制が考えられている。また、グリア細胞は老人斑に集積し、Aβを貪食・分解することが報告されており、ADの分解系の低下にはグリア細胞の機能不全が考えられる。本研究では、AD脳で発現量が増加し、老人斑においてAβと細胞外で共存していたhigh mobility group box protein-1(HMGB1)の機能について、特に、モデル動物(PS1マウス、PS/APPマウスやAβ海馬実質内投与ラットなど)を用いてin vivo系で解析した。その結果、本来核内に存在するHMGB1は、神経細胞死とともに細胞外へ漏出し、Aβとの結合能力により老人斑に蓄積すること、さらに老人斑において活性化して集積するミクログリアにも作用し、ミクログリアのAβ貪食機能を阻害することを見出した。また、HMGB1は神経毒性の高いAβ低分子量複合体を安定化することで、Aβの神経毒性を増大することが示唆された。このようにHMGB1はミクログリアのAβ貪食機能の抑制やAβ神経毒性の増大によりADにおける増悪因子として作用することが示唆された。
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Research Products
(1 results)