2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J07445
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉川 孝 慶應義塾大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 哲学 / 倫理学 / 現象学 / 実践 / 志向性 / 創造 / 感情 / 善悪 |
Research Abstract |
本研究の課題は「現象学における白然と精神」であり、白然と精神を主題としているE・フッサールの『イデーン 第2巻』を中心に据えて、M・ハイデガー、 M・メルロニポンティ、 E・レヴィナスらの現象学派の思想的展開を明らかにしようとする。3年度にわたる研究計画の最終年にあたる本年度においては、この課題への取り組みを集大成するものとして、慶應義塾大学に博士論文を提出した。 博士論文の「認識と倫理--フッサール研究」では、フッサールの現象学的哲学の発展を、倫理学や実践哲学という観点から再検討することを通じて、その意義を明らかにした。そこでは、ミュンヘン・ゲッティンゲン学派の哲学やドイツ観念論の影響関係などにも焦点が当てられている。 さらには、この博士論文と関連するテーマにおいて、学会誌への論文発表も行った。日本現象学会の『現象学年報』には、「問いの現象学-ダウベルト、ライナッハ、フッサールをめぐって-」を発表し、「問い」という現象を通じて、フッサール現象学とミュンヘン・ゲッティンゲン学派の関連を検討した。日本倫理学会の『倫理学年報』には、「志向性と自己創造--フッサールの定言命法論」を発表し、カントの定言命法の解釈を通じて、フッサールの倫理思想の意義を明らかにした。さらには、日本倫理学会の『哲学』では、「フッサールにおける生の浄福-感情の現象学のために-」を発表し、フッサール現象学における感情概念の果たす役割を考察した。
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