2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ球菌由来表皮剥脱毒素ファミリーの同定および皮膚感染症における作用機序の解析
Project/Area Number |
04J07525
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西藤 公司 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 表皮剥脱毒素 / ブドウ球菌 / プロテアーゼ / 細胞接着 / デスモグレイン / 膿痂疹 / ブドウ球菌性熱傷様症候群 / 皮膚感染症 |
Research Abstract |
本年度は、水庖性膿痂疹やブドウ球菌性熱傷様症候群の原因となる黄色ブドウ球菌由来表皮剥脱毒素(ET)について、新たなET遺伝子の検出を試みたと共に、ETと新規DsgであるDsg4との反応性について検討を行った。さらにブタ膿痂疹の原因となるS.hyicus由来表皮剥脱毒素Exhの水庖形成機序に関する検討も行った。 まず皮膚感染症の患者から分離された黄色ブドウ球菌株より、ETに類似した翻訳アミノ酸配列をもつセリンプロテアーゼ遺伝子を1種同定した。そしてこの遺伝子を元に大腸菌発現系で作成した組換え蛋白が、新生仔マウスに投与後48時間で表皮内水庖を形成すると共に、バキュロウイルス発現系で作成したヒトおよびマウスDsg1細胞外領域の組換え蛋白とin vitroで24時間反応させたところ、Dsg1を特異的に消化することを確認した。 次に、新規に同定された表皮細胞間接着蛋白であるDsg4が、Dsg1と同様ETの標的となるか解析した。その結果、既知の3種のET(ETA、ETB、ETD)は、ヒトおよびマウスDsg4細胞外領域の組換え蛋白をin vitroで消化しないことを証明した。この事実を元に、Dsg4が既知のDsgとは異なり、表皮において表皮細胞間接着以外の何らかの役割を有する可能性を提唱した(J CIin Invest:114)。 さらに本年度は、S.hyicus由来Exhの、ブタにおける水庖形成機序について検討を行った。4種のExh(ExhA, ExhB, ExhC, ExhD)の組換え毒素を大腸菌の発現系で作成し、これをブタ皮膚の凍結切片とin vitroで反応させてDsgの染色性の変化を蛍光抗体法により確認した。その結果4種のExhが、抗Dsg1抗体をもつヒト落葉状天庖瘡患者血清の染色性を特異的に消失させたことから、本疾患がヒト膿痂疹と同一の病態発症機序を有する可能性を示唆した。
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Research Products
(4 results)