2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J07673
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長廣 利崇 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 経済史 / 経営史 / 石炭産業 / 炭鉱企業 / 三井物産 / 石炭問屋 / 筑豊 / 日本鉱業会 |
Research Abstract |
本年度は、福岡県の産炭地筑豊の炭鉱企業の事例を中心に、2つの研究を公表したとともに、資料収集を行った。 第1に、明治前期の石炭産業の動向を明らかにするため、筑豊において有力な石炭問屋であった中原屋の活動を検討した。先行研究では、石炭問屋は、零細炭鉱に資金を前貸しして、これを搾取、支配したと解釈されてきた。しかし、史料「中原嘉左右日記」を入念に読み解いた結果、石炭問屋中原屋は、炭鉱への前貸し金を回収できなかったとともに、契約通りの石炭を炭鉱から得ることができなかった。 第2に、こうした地方石炭問屋の経営動向とは異なり、1900年代に三井物産は炭鉱との一手販売取引を拡大していった。三井物産の石炭取引を実証的に明らかにした研究は少ないため、本年度は、財団法人三井文庫に所蔵される三井物産関係の資料を収集するとともに、契約史料類を検討した。特に、1920年代以降における国内のみならず中国市場、台湾における三井物産の活動は、ほとんど明らかにされていないことに着目し、実証分析を進めた。また、台湾石炭産業については、三井鉱山株式会社から閲覧を許された「基隆炭鉱沿革史稿本」の解読を進めた。なお、本研究の具体的成果は、次年度の社会経済史学会にて報告する予定である。 第3に、戦間期の大炭鉱企業の技術革新が企業間ネットワークの形成によって促されたことを明らかにした。具体的には、日本鉱業会、筑豊石炭鉱業組合が炭鉱企業の技術情報を交換するために設立した「採鉱研究会」、「講演会」の活動を検討した。
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Research Products
(2 results)