2005 Fiscal Year Annual Research Report
チップ増強非線形光学効果を利用した分子振動ナノイメージング
Project/Area Number |
04J07751
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市村 垂生 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 金属ナノプローブ / コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS) / 局在プラズモン / 近接場光学顕微鏡 / 分子振動イメージング / 単層カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
金属チップ増強コヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)顕微鏡により単層カーボンナノチューブ(SWNT)の分子振動イメージングを実現した。顕微鏡システムは、2色のピコ秒チタンサファイアレーザーと原子間力顕微鏡を搭載した倒立顕微鏡により構成した。同期した2色のレーザーを対物レンズにより試料表面に集光した。集光スポット内の金属プローブ先端(チップ)を挿入し、局在プラズモン電場増強効果により先端近傍にナノサイズの光スポットを生成した。このナノ光スポットにより、ナノ領域のSWNTのCARS分極を誘起した。この結果、SWNTのGバンドの振動数(1580cm^<-1>)においてSWNTをCARSイメージングできた。得られたチップ増強CARS像では、通常の(ファーフィールドの)のCARS顕微鏡では空間分解できないサイズのSWNTが鮮明に可視化できた。また、チップによるCARS増強の効率を向上するために、チップのサイズおよび形状の最適化を試みた。設計は有限差分時間領域法(FDTD)により行い、収束イオンビーム(FIB)によりチップ先端を加工した。さらに、CARSイメージングのSN比を向上するために、パルスレーザーの同期とパルス幅を自動制御するシステムを構築し、実際にSN比を5倍以上に向上できた。本システムは、他のナノプローブテクノロジーでは得られない、分子振動の情報をナノの空間分解能で得ることができる。半導体ナノ微粒子などの最先端ナノ材料にも適用可能であり、ナノテクノロジーの発展にたいへん有効なツールとなりうる。
|