2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J08201
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢野 真人 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経分化 / RNA結合蛋白質 / 転写後調節 |
Research Abstract |
神経特異的に発現するRNA結合蛋白質Huは、神経前駆細胞から成熟ニューロンにかけて高発現し、転写後調節機構を介し神経細胞への分化誘導能をもつ蛋白質である。しかしHuによる分化誘導能が、どのようなタイミングでどの遺伝子群に対して行われているのかなど詳細な解析はなされていなかった。本研究で、Hu蛋白質が神経芽細胞腫N1E-115細胞の分化誘導能(神経様突起の形成)、細胞周期抑制作用及びCDKインヒビターであるp21cip1遺伝子の発現促進作用を持つ事を明らかにした。またp21の遺伝子発現は、DMSO誘導によるN1E-115細胞の分化系において、p21 mRNAの3'非翻訳領域を介した転写後調節により制御されていた。我々は生化学的手法を用いて、Hu結合因子としてRNA結合蛋白質hnRNP Kを同定し、hnRNP Kもまたp21 mRNAの3'非翻訳領域に結合すること、またhnRNP Kがp21の翻訳を抑制することを見い出した。p21のsiRNAを用いた実験により、p21がHuの下流遺伝子として分化誘導及び細胞周期の停止に関わっていることを示した。またこのHu-p21経路は、hnRNP Kの過剰発現において部分的に解除されることがわかった。これらの結果により、2つのRNA結合蛋白質HuとhnRNP Kのp21の転写後調節を介した拮抗作用が、細胞の増殖から神経分化へのタイミングをコントロールしていることが示唆された。
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