2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境感知応答システムによる異物排出蛋白質発現制御ネットワークの解明
Project/Area Number |
04J08261
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
平川 秀忠 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 異物排出蛋白質 / 環境感知応答システム / インドール / 二成分情報伝達系 / 細胞間情報伝達 / 薬剤体制化 |
Research Abstract |
異物排出蛋白質は多くの細菌に存在する多剤耐性の主要な因子であると知られている。大腸菌においては20種類もの異物排出蛋白質がゲノム上に存在しているもののそのほとんどが構成的に発現しておらず、なんらかの刺激で発現が誘導され、結果的に多剤耐性化を引き起こすのではないかと考えられてきた。しかしながら、実際多くの異物排出蛋白質が通常はどのように発現が抑制されどのような刺激で発現が誘導されるのかは明らかになっていない。これまで、我々は微生物に存在する環境感知応答システムである二成分情報伝達系が多くの排出蛋白質の発現を正に調節していること、また二成分情報伝達系によって制御される排出蛋白質のうち数種類がインドールによって発現が誘導されることを突き止めた。 1年目は第一に「インドールによる排出蛋白質発現誘導に二成分情報伝達系が関わっているのかを検証し、インドールによる排出蛋白質の発現誘導ネットワークを解明する。」ことを目的とした。その成果としてMolecular Microbiology誌に発表を行うことができた。 第二に「異物排出蛋白質の発現誘導物質と発現抑制因子探索の準備段階として、レポーター遺伝子を付加した排出蛋白質遺伝子プロモーターライブラリの構築を行い、排出蛋白質の未知の発現抑制因子とインドールに続く発現誘導物質の同定を行う」ことを目的にした。1年目は計画通り、発現誘導物質、発現抑制性因子探索のためのスクリーニング系を構築した。さらに、スクリーニングの結果、発現誘導物質に関しては細胞壁の分解産物であるN-アセチルグルコサミンが1つの異物排出蛋白質の発現を特異的顕著に増大させることを見出した。この成果については現在投稿準備中である。また、発現抑制性因子に関しては鉄応答性の転写制御因子がいくつかの異物排出蛋白質の発現を抑制していることを見出した。現在は大腸菌の鉄応答性に異物排出蛋白質がどのような形で寄与しているのか調査中である。
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Research Products
(1 results)